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【紙ストロー】なぜ別素材へ切り替える例があるのか?スターバックスの発表から素材の違いを読む

スターバックスは2024年12月、紙ストローからGreen Planet製の生分解性バイオポリマーのストローへの切り替えを発表し、理由として飲み心地の良さと環境負荷の低減を挙げました。植物由来であることと生分解性は別の性質で、分解には環境ごとの条件があります。素材を比べる視点を整理します。

【紙ストロー】なぜ別素材へ切り替える例があるのか?スターバックスの発表から素材の違いを読む

この記事でわかること

  • 紙製、バイオマス由来、生分解性は同じ意味ではない
  • 生分解性素材は種類ごとに、分解する温度・時間・環境(堆肥・土壌・海洋など)が異なる
  • 環境負荷はストローだけでなく、製造から廃棄までと容器全体で考える必要がある

紙ストローが別の素材へ切り替わるニュースを見ると、「環境に配慮した素材をやめた」と感じるかもしれません。スターバックス コーヒー ジャパンは2024年12月、紙製のストローから、植物油などを主原料とする生分解性バイオポリマー「Green Planet」製のストローへ切り替えると発表し、理由として飲み心地の良さと環境負荷低減の両立を挙げています。素材の変更には、ふやけにくさや耐久性だけでなく、原料や、製造から廃棄までを含む環境負荷の見積もりも関係します。

特に注意が必要なのは、「植物由来」と「生分解性」が同じ意味ではないことです。バイオプラスチックには、植物などのバイオマスを原料にするものと、微生物によって分解される性質を持つものがあります。両方の性質を持つ素材もありますが、必ず一致するわけではありません。

紙ストローを導入した背景(スターバックスの例)

使い捨てプラスチックを減らす取り組みの中で、スターバックスは2018年から石油由来のプラスチック製ストローの全廃を進め、日本国内の店舗では2020年1月にFSC認証紙製のストローの提供を始めました(同社発表)。紙は植物繊維を加工した素材で、プラスチックとは異なる性質を持ちます。一方、時間が経つと柔らかくなるという課題もあります(農林水産省)。

使用感の問題は、単なる好みだけではありません。紙は時間が経つと柔らかくなる(農林水産省)ため、飲み物に触れている時間なども含めて使用条件をそろえて比べる必要があります。

バイオマスと生分解性は別の性質

環境省の整理では、バイオプラスチックはバイオマスプラスチックと生分解性プラスチックを含む総称です。バイオマスプラスチックは植物など再生可能な資源を原料にすることを示し、生分解性プラスチックは微生物の働きなどで分解される性質を示します。

石油由来でも生分解性を持つ素材はあり、植物由来でも通常のプラスチックと同じように長く残る素材があります。「植物由来だから自然に消える」「生分解性だからどこに捨ててもよい」とは言えません。

生分解には条件がある

生分解性という表示があっても、樹脂ごとに、分解する温度や時間、適した環境(工業コンポスト、家庭コンポスト、土壌、海洋など)が異なります(環境省)。工業的な堆肥化施設を前提に分解する素材もあり、海や土の中ですぐに分解することを意味しない場合があります。

農林水産省の広報誌『aff』のウッドストロー紹介記事では、紙ストローは時間が経つと柔らかくなるという使用上の問題が挙げられています。素材の特徴は、原料名だけでなく、どの処理環境でどうなるかとセットで読む必要があります。

素材の切り替えは環境負荷の見積もりと関係する

使い捨て容器の環境負荷を考えるとき、ストローだけを見て結論を出すことはできません。カップやふた、包装、輸送、処理の方法も関係します。

同じ素材でも、使う量や使用期間が変われば結果は変わります。素材を一つのランキングに並べるのではなく、目的に合った耐久性と処理方法が組み合わされているかを確認することが、環境面を考えるときの出発点になります。

素材メーカーのカネカは2024年12月6日、スターバックス コーヒー ジャパンの国内店舗で、同社の生分解性バイオポリマー「Green Planet」製のストローが採用されると発表しました。2025年1月23日から沖縄県内の32店舗で先行導入され、2025年3月以降は全国の店舗で順次展開されるとされています。カネカは、この素材を、土壌中と海水中の微生物によって二酸化炭素と水に生分解されるバイオマス由来の素材と説明しています。

スターバックスは、導入の理由として「飲み心地の良さと環境負荷低減の両立」を挙げています。同社の発表では、このストローは、現在使用しているFSC認証紙製ストローと比べて、ライフサイクル全体でCO2の排出を低減し、店舗から出るストローの廃棄物量(重量比)を半分近く削減できる見込みとされています。これは企業の見込みであり、独立した評価ではありません。また、日本バイオプラスチック協会の「BP90(バイオマスプラスチック度90%以上)」と「海洋生分解性バイオマスプラ」の認証を取得したとされています(着色に顔料を一部使用)。

これは紙から別素材へ変わった一例です。スターバックスの発表でも、テイスティング等で使う短いストローは当面、紙製を使用するとされており、すべてのストローが置き換わるわけではありません。企業の発表は、導入時期と採用素材を確認して読む必要があります。

まとめ

紙ストローから別素材へ変わった例として、スターバックスは飲み心地の良さと環境負荷の低減を理由に挙げています。素材の性質、原料、分解条件、ライフサイクル全体の見積もりを合わせて読む必要があります。植物由来と生分解性は別の概念で、生分解性でも処理環境が必要です。ストロー単体の善悪ではなく、使われた後まで含めて考えることが、素材を比較するポイントです。

よくある質問

バイオプラスチックはすべて植物由来ですか?

すべてではありません。バイオマス由来と生分解性は別の性質で、素材によって組み合わせが異なります。

生分解性なら自然に捨ててもよいですか?

よいとは限りません。生分解性プラスチックは、樹脂ごとに分解する温度や時間、適した環境(工業コンポスト、家庭コンポスト、土壌、海洋など)が異なります(環境省)。

紙ストローよりプラスチックの方が環境に良いのですか?

一概には決められません。スターバックスは、Green Planet製のストローが紙製ストローと比べてライフサイクル全体でCO2排出と廃棄物量を減らせる見込みだと発表していますが、これは企業の見込みです。原料、製造、使用、廃棄などの条件で結果が変わるため、素材だけで優劣を決めることはできません。

参考資料・出典