
この記事でわかること
- 日本の果実需要は国産37%・輸入63%(令和5年推計、生果換算)で、輸入品の59%は果汁等加工品
- 輸入の果汁等加工品のうちオレンジ果汁は27%で、オレンジ果汁の主な輸入国はブラジル(5割)
- カンキツグリーニング病は植物の病害で、ブラジルを含む世界のかんきつ産地に被害を与えている
オレンジジュースの原料になる果汁は、どこから日本に来ているのでしょうか。農林水産省の統計では、日本の果実需要の6割余りは輸入品で、輸入品の約6割は果汁などの加工品です。そのうちオレンジ果汁の主な輸入国はブラジルとされています。
この記事では、まず輸入の構造を統計で確認し、次に、産地の天候による収穫予測の変化の例と、かんきつの病害の説明を整理します。価格の変動や店頭の販売状況については、この記事では扱いません。
日本の果実需要と輸入の構造
農林水産省「果樹をめぐる情勢」(令和8年8月)には、令和5年(推計)の果実の需給構造が示されています。果汁や加工品は生果に換算した数値で、メーカーや団体等への聞き取りをして整理した推計値と注記されています。
| 区分 | 割合(生果換算) |
|---|---|
| 国内の果実需要のうち、国産品 | 37%(2,428千トン) |
| 国内の果実需要のうち、輸入品 | 63%(4,088千トン) |
| 国内生産のうち生鮮用/果汁等加工品 | 87%/13% |
| 輸入品のうち生鮮用/果汁等加工品 | 41%/59% |
| 輸入の果汁等加工品のうち、オレンジ果汁 | 27%(661千トン) |
| 輸入の果汁等加工品のうち、りんご果汁 | 20%(486千トン) |
割合の分母がそれぞれ異なる点に注意が必要です。37%・63%は国内の果実需要全体、59%は輸入品の中での果汁等加工品の割合、27%はその果汁等加工品の中でのオレンジ果汁の割合です。
オレンジ果汁の主な輸入国
同じ資料では、オレンジ果汁の主な輸入国・地域として、ブラジル(5割)が示されています。これはオレンジ果汁の輸入先の内訳であり、果実全体や世界全体の割合ではありません。資料が示しているのは輸入先の内訳で、産地の天候や病害が日本の価格や販売にどう届くかは示していません。
産地の天候で収穫予測が変わった例
ブラジルのかんきつ産地の団体Fundecitrusは、サンパウロ州とミナスジェライス州西部・南西部のかんきつ地帯について、毎年の収穫予測を公表しています。2024年9月10日の2024/25作期の更新資料では、オレンジの生産量予測を2億1,578万箱(1箱40.8kg)とし、5月の初回予測から1,660万箱引き下げました。前作期(3億722万箱)と比べると29.8%の減少にあたります。
引き下げの理由として、同資料は、高温・乾燥の天候の結果としての果実の小玉化を挙げています。同資料によると、2024年5〜8月の平均最高気温は1991〜2020年の平均より3〜4℃高く、この期間の累積降水量は64mmで、平年(歴史的な平均)より54%少ない水準でした。
これは2024年9月時点の予測値で、最終値や現在の作況ではありません。また、日本の価格や販売への影響を示す資料でもありません。
かんきつ病害は人の病気ではない
植物防疫所は、カンキツグリーニング病を、世界各国のかんきつ生産地域に深刻な被害を与えている重要な病害と説明しています。細菌が原因で、ミカンキジラミなどの媒介生物や、感染植物から採取した穂木を健全な植物に接ぎ木することで広がります。症状は、葉が黄化し、進行すると落葉・落果・枝枯れが生じ、最終的には植物全体が衰弱して枯死することが多い、とされています。着色不良の果実が見られることもあります。
発生国・地域には、インド、中国、米国、ブラジルなどが挙げられています。日本は、発生国・地域からの寄主植物の輸入を禁止しており、沖縄県と奄美群島の一部(奄美大島・喜界島を除く)で発生が確認されていることから、宿主植物の移動制限や禁止措置が講じられています。
これは人にうつる病気ではなく、植物の生産に影響する病害です。家庭で薬剤を使う手順や、人の健康への影響は扱いません。
まとめ
日本の果実需要の63%は輸入品で、輸入品の59%は果汁等加工品です(令和5年推計、生果換算)。輸入の果汁等加工品の27%はオレンジ果汁で、オレンジ果汁の主な輸入国はブラジル(5割)です。産地の天候で収穫予測が変わる例や、かんきつ病害が産地に被害を与えていることは確認できますが、それらが日本の価格や店頭の販売にどう影響するかは、この記事で読んだ資料からは分かりません。
よくある質問
Q. ブラジルの病害は人にうつりますか? A. 植物防疫所が説明するカンキツグリーニング病は、かんきつの植物病害です。人の感染症として扱うものではありません。
Q. 日本で売られているオレンジ果汁は、何割がブラジル産ですか? A. 農林水産省の資料は、オレンジ果汁の主な輸入国・地域としてブラジル(5割)を示しています。日本で売られている商品全体の割合ではありません。
参考資料・出典
- 農林水産省「果樹をめぐる情勢」令和8年8月:令和5年(推計)の果実の需給構造(国産37%・輸入63%、輸入品の59%が果汁等加工品、オレンジ果汁27%、ブラジル5割)。5頁(PDF6枚目)の図で確認。
- Fundecitrus「2024-2025 Orange Crop Forecast Update」(2024年9月):2024/25作期のサンパウロ州・ミナスジェライス州西部・南西部の予測更新(2024年9月10日)。
- 植物防疫所「カンキツグリーニング病菌の解説」:病害の説明、媒介生物、発生国・地域、日本の植物検疫。
