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2022~2023年にたまごが高騰した理由:鳥インフルエンザ・供給・飼料費

2022~2023年の卵価格上昇を振り返り、鳥インフルエンザの84事例・処分対象約1,771万羽の意味、供給減と飼料費、卸売と小売の違いを整理。処分羽数から生産減少率を計算できない理由も解説します。

2022~2023年にたまごが高騰した理由:鳥インフルエンザ・供給・飼料費

この記事でわかること

  • 2022年シーズンは26道県84事例で、約1,771万羽が殺処分対象となった
  • 処分対象の家きん羽数は、卵の年間生産量やその減少率とは異なる指標
  • 令和5年度白書は、夏季以降は需給が緩和し、鶏卵の小売価格は下落基調に転じたと整理している

たまごの価格が大きく上がった2022~2023年には、鳥インフルエンザによる供給への影響と、飼料価格の高騰が重なりました。しかし、ニュースに出る「処分羽数」をそのまま卵の生産減少率へ変換すると、規模を読み違えます。

この記事は2022年シーズンの鳥インフルエンザと、2023年の価格動向を振り返る解説です。現在の店頭価格や、今後いつ値下がりするかの予測ではありません。

発生規模:84事例と約1,771万羽は何の数字か

農林水産省の令和5年度白書概要は、2022年シーズンの高病原性鳥インフルエンザについて、26道県で84事例が発生し、およそ1,771万羽が殺処分対象になったと整理しています。卵の価格高騰や欠品が生じるほどの影響も記しています。

この二つは、数えているものが違います。

数字何を表すか何を直接表さないか
84事例そのシーズンに確認された発生事例殺処分された羽数や卵の生産量の大きさは表さない
約1,771万羽殺処分対象になった家きんの羽数すべてが卵を産む採卵鶏という意味ではない
卵の生産量ある期間に生産された卵の量処分対象羽数と同じ単位ではない

採卵鶏と肉用鶏などを含む羽数を、採卵鶏だけの総数で割っても、卵の減少率にはなりません。なお、令和4年度白書は、採卵鶏の殺処分羽数が過去最多となり、国内全体の飼養羽数の約1割まで拡大したと整理しています。これは飼養羽数に対する割合であり、卵の生産量の減少率そのものではありません。年間の生産量を知りたいときは、対象期間をそろえた鶏卵の生産統計を確認します。

また、発生事例が減ることと、卵の供給がすぐ回復することも別です。供給は実際に稼働している生産体制に関わるため、発生件数だけから同時に元へ戻ったとは判断できません。

価格へ影響した二つの経路

一つは供給側の変化です。農林水産省の令和4年度白書は、地域による消費者向けの購入制限や品薄、加工向けの卵の不足、食品企業による卵の使用量削減や商品の販売中止を記録しています。

もう一つは生産費です。令和5年度白書概要には、配合飼料価格の長期高騰と高止まりへの対策が記載されています。卵を供給する量の問題と、生産を続ける費用の問題を分けると、値上がりを一つの数字だけで説明できない理由が分かります。

経路読み分ける問い
供給店頭・加工用へ届けられる卵が足りていたか
生産費生産を続けるための飼料などが高くなっていたか
販売段階どの地域・規格・売り方の価格を比較しているか

供給減と費用増はどちらも価格を考える材料ですが、どちらが何割の値上がりを生んだかを、この白書の記述だけで分解することはできません。

卸売価格と、スーパーの1パック価格を混ぜない

価格の比較では、まず単位を確認します。卸売の相場で使う「円/kg」と、店頭で見かける「円/パック」は、そのまま同じ数字として比べられません。

さらに、同じ1パックでも、個数、卵のサイズ、商品規格、地域、通常販売と特売によって比較条件が変わります。ニュースの価格を読んだら、次を確認すると整理できます。

  1. 卸売の取引価格か、消費者が買う小売価格か。
  2. 1kg、1個、1パックのどの単位か。
  3. 何年何月、どの規格・調査の価格か。
  4. 前年同月比か、平年比か、特定の日との比較か。

これは価格資料を比較するための整理です。「卸売が何%上がったから、全店の1パックも同じ割合で上がる」という計算には使えません。

高騰は、その後ずっと同じ方向に続いたのか

令和5年度白書の食料消費の章は、鶏卵の小売価格が供給減等で上昇傾向で推移した後、夏季以降は需給が緩和し、下落基調に転じたと整理しています(令和5年度の記述)。

「高騰した理由」を説明する記事でも、後の変化まで確認することで、過去の上昇局面を現在も続く状態として読ませずに済みます。下落基調という説明も、全店舗で同じ価格へ戻ったことや、将来の価格を保証するものではありません。

卵の価格動向を見るときは、病気の発生規模、実際の供給、生産費、販売価格を順に分け、同じ時点の資料で比較するのが出発点になります。

参考資料