食べ物・栄養4分で読めます

【トマト】赤くならないのはなぜ?高温で起こる「着色不良」と実の変化

トマトが赤くならない背景には、果実の成熟だけでなく、花粉の働き、着果、高温、光、水分、品種の違いがあります。2025年の高温で起きた着花・着果不良や裂果、小玉化などを生育段階ごとに解説します。

【トマト】赤くならないのはなぜ?高温で起こる「着色不良」と実の変化

この記事でわかること

  • 高温によるトマトの障害は着色・開花・着果の段階で異なる
  • 赤くならない原因を高温だけでなく品種・光・水分から見る
  • 2025年の影響割合は果実の割合ではなく作付面積ベースの数字

トマトは赤い野菜という印象がありますが、店頭で赤みの薄い実を見かけることがあります。赤くならない理由は、単に収穫が早かったからとは限りません。花が咲く、実がつく、果実が大きくなる、色づくという段階ごとに、高温の影響が現れます。

農林水産省の調査では、2025年夏の高温によってトマトの着花・着果不良が見られた地域がありました。トマトの高温障害は「赤くならない」だけでなく、裂果、小玉化、黄変果などにも広がります。

トマトが赤くなる仕組み

トマトの果実は、成熟が進むと緑色が薄れ、赤色が目立つようになります。果実の中で色素の構成が変わり、硬さや香りも変化します。十分に実がついていても、色づきの段階で温度や光の条件が合わないと、赤くなる進み方が遅れることがあります。

ただし、赤みが薄いことだけで未熟・異常と決めることはできません。品種によって成熟時の色は異なり、黄色やオレンジ色になる品種もあります。まず、そのトマトがどの品種で、どの生育段階にあるかを分けて考える必要があります。

高温は花と実の両方に影響する

トマトは、花粉が働いて受粉し、果実がつくられます。高温が続くと花粉の稔性が低下し、花が咲いても実がつきにくい着果不良が起きる可能性があります。実ができなければ、その後の着色や収穫量以前の段階で影響が出ます。

実がついた後も、高温によって果実の成長や成熟のバランスが変わります。着色不良、小玉化、裂果、尻腐れ果、黄変果などは、発生する時期や仕組みが異なります。高温障害を一つの症状にまとめると、花の問題と果実の問題を混同してしまいます。

2025年の影響割合をどう読むか

農林水産省の2026年3月の速報では、2025年夏の高温により、トマトの着花・着果不良が見られた地域の割合は、作付面積ベースで全国4〜5割、西日本5〜6割と報告されています。

これは、全国のトマトの実の4〜5割が実をつけなかった、または赤くならなかったという意味ではありません。影響が見られた地域の作付面積を示す割合です。米の白未熟粒の資料と同様に、分母が地域や作付面積なのか、収穫量なのかを確認して読む必要があります。

産地で行われる高温対策

農林水産省の資料では、細霧冷房、遮光、換気、屋根散水、夜間の冷却、適切なかん水、品種の導入などが対策として挙げられています。これらは温度だけでなく、湿度、花粉、根の状態、樹勢を組み合わせて管理するものです。

生育段階高温で起きる可能性産地で検討される対策の例
開花花粉の働きが低下し着果しにくい換気、遮光、温度管理、品種の検討
果実の成長小玉化、尻腐れ果などかん水、樹勢管理、根域の環境管理
成熟・収穫着色不良、黄変果、裂果夜間冷却、遮光、品種や収穫時期の調整

これらは産地での栽培管理の例であり、家庭菜園で薬剤を使う手順を案内するものではありません。品種や施設の条件が異なるため、一つの方法を全国共通の正解とすることもできません。

赤くならないトマトは、全て高温障害である。

この理解も正確ではありません。品種本来の色、収穫時期、光、水分、栄養、生育段階など複数の条件が関係します。高温は重要な要因ですが、見た目だけで原因を特定することはできません。

まとめ

トマトが赤くならない背景には、果実の成熟だけでなく、花粉の働き、着果、高温、光、水分、品種などが関係します。2025年の高温では、着花・着果不良が見られた地域が報告され、裂果や小玉化など複数の障害も整理されています。

高温障害を読むときは、花が咲く段階、実がつく段階、色づく段階を分けることが大切です。影響割合も、果実の割合ではなく作付面積ベースの数字かどうかを確認します。

よくある質問

Q. 赤い品種なのに赤くならないのは高温だけが原因ですか?
A. 高温は一因ですが、光、品種、水分、生育段階なども関係します。見た目だけで原因を一つに決めることはできません。

Q. 高温になるとトマトは必ず小さくなりますか?
A. 小玉化が起きる可能性はありますが、温度、品種、着果数、根の状態などによって結果は異なります。

Q. 着花不良と着色不良は同じですか?
A. 同じではありません。着花不良は花がつく段階、着色不良は果実が色づく段階の問題です。生育段階を分けて考えます。

参考資料