
この記事でわかること
- 雹は、積乱雲の中で氷の粒が強い上昇気流に支えられながら成長し、落ちてくる氷塊
- 気象庁の用語では、直径5mm未満は「あられ」、5mm以上が「ひょう」と区別される
- 気象庁は、日本では春や秋に降ることが多く、地面付近の気温が高い盛夏には降りにくいと説明している
氷の塊が降ってくるのはなぜ?
雹(ひょう)は、積乱雲の中で氷の粒が成長し、融けきらずに地上まで落ちてきた氷の塊です。気象庁は、地面付近が暖かくても、上空に冬のような冷たい空気が入ると積乱雲が発達し、雷や雹が起きると説明しています。
この記事では、雹がどのように育つのか、あられとどう違うのか、日本ではいつ降りやすいと説明されているのか、積乱雲が近づいたときにどう身を守るのかを、公的な資料に沿って整理します。
雹とあられの違い
雹(ひょう)とよく似た言葉に「霰(あられ)」があります。気象庁の用語では、大きさで区別します。
| 名前 | 直径 |
|---|---|
| 霰(あられ) | 5mm未満 |
| 雹(ひょう) | 5mm以上 |
気象庁の気象用語集は、ひょうを積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊、あられを直径5mm未満の氷の粒としています。WMOの国際雲図帳は、雹は一般に直径5〜50mm程度としています。気象庁の子ども向けの解説には、みかんほどの大きさやソフトボールほどの大きさになる雹もあると書かれています。
雹が作られるしくみ
雹は「積乱雲(せきらんうん)」の中で作られます。積乱雲は「入道雲」とも呼ばれる、背の高い雲です。
成長から落下まで
Step1:氷の粒ができる WMOの国際雲図帳は、雹は核になる粒が雲の水滴や雨粒を集めて形成されると説明しています。核の性質については一般的な合意がなく、小さな氷の粒(雪あられ)の周りにできた小さな雹であることが多い、という見方に傾いているとしています。
Step2:強い上昇気流の中で大きくなる 気象庁の子ども向けの解説によると、積乱雲の中では上昇気流がとても強いため、小さな氷の粒はなかなか落ちることができず、周りの粒とぶつかったりくっついたりして大きくなります。気象庁の「農業に役立つ気象情報の利用の手引き」は、氷の粒が積乱雲の中で対流を繰り返すうち、粒同士がくっついたり、水滴とぶつかったりして成長すると説明しています。
Step3:層のある氷になる 同じ手引きは、落下した雹を観察すると、中心から多層の層構造があるものや、それらが合わさった不規則な形のものがあると述べています。WMOの国際雲図帳も、透明な氷と不透明な氷が交互に重なる「玉ねぎの皮」のような層構造を持つものがあり、多くは層が5つ以下だが、非常に大きいものは20以上になることもある、と説明しています。一方で、層のない雹もあるとされています。
Step4:支えきれなくなって落ちる 気象庁の子ども向けの解説では、氷の粒が直径2センチメートルぐらいになると上昇気流が支えきれなくなって落ちてきます。ふつう氷の粒は落ちてくる間に融けて雨になりますが、大きくなった氷の粒は、融けきらずに氷のまま落ちてくることがあり、これが「ひょう」です。
成長の説明を、雲の中にある一本の固定した循環経路として読むことはできません。すべての雹が同じ気流や軌跡を通るという意味ではありません。
雹はいつ降りやすい?
気象庁の子ども向けの解説は、「ひょう」は寒い冬よりも、5月や10月など、春や秋に降ることが多いと説明しています。この時期は、地面付近は暖かいのに、上空には冬のような冷たい空気がやってくることがあり、そのようなときに積乱雲が発達して、雷が鳴ったり雹が降ったりするとしています。
一方、夏は上空の気温が他の季節より高く、氷ではなく水の粒の雲になっていることも多いため、あまり雹は降らないと説明しています。冬は他の季節より積乱雲が発達しにくいため、雹ができにくいとも述べています。気象庁の手引きも、地上付近の気温が高いと融けてしまうため、相対的に盛夏期には雹は降りにくく、春や秋の時期に多く観測されると記しています。
これは気象庁の一般向けの説明で、地域や年ごとの雹の発生回数を集計した統計ではありません。
雹の被害
気象庁の手引きは、雹が果実や葉を傷つけるため、農作物への直撃を軽減するには防ひょうネットや寒冷紗などで覆う対策があると述べています。また、大きいものになると車の屋根を凹ませたり、フロントガラスが割れる場合もあるとしています。
同じ手引きは、直径1cmの雹で落下速度はおよそ時速50kmと見積もられ、直径5cmにもなると時速100kmを上回ると計算される、としています。大きく重いものは落下の速度も増すため、破壊力が大きくなります。
積乱雲が近づくサインと身を守る行動
雷や雹、竜巻などの激しい現象は、積乱雲に伴って起こります。気象庁は、次のような変化を感じたら積乱雲が近づいている兆しだと説明しています。
- 真っ黒い雲が近づいてきた
- 雷の音が聞こえてきた
- 急に冷たい風が吹いてきた
これらは雹が降る前兆というよりも、積乱雲が近づくサインです。気象庁の手引きは、空が急に真っ暗になる、大粒の雨が降り出す、雷鳴が聞こえるなどの兆候が確認されたら、頑丈な建物に避難するなど身の安全を確保する行動をとるよう求めています。建物などへの避難が間に合わない場合は、少しでも身を低くし、雷や飛来物を避けられる場所を探すこと、樹木の下は危険であることも示しています。
気象庁は、単独の積乱雲による激しい現象は30分から1時間程度で弱まることが多いため、ナウキャストで状況を確認しながら、安全な場所で積乱雲が過ぎ去るのを待つよう案内しています。
まとめ
- 雹は、積乱雲の中で氷の粒が成長し、融けきらずに落ちてくる氷塊
- 気象庁の用語では、直径5mm以上が「雹」、5mm未満が「霰(あられ)」
- 気象庁は、日本では春や秋に降ることが多く、盛夏には降りにくいと説明している
- 雹は農作物や車に被害を与えることがある
- 真っ黒い雲、雷の音、急に冷たい風といった積乱雲のサインに気づいたら、頑丈な建物へ避難するのが基本
よくある質問
Q. 雹と霰(あられ)はどう見分けますか? A. 気象庁の用語では、直径5mm以上を雹、5mm未満を霰とします。
Q. 日本でも大きな雹は降りますか? A. 気象庁の子ども向けの解説には、みかんほどの大きさやソフトボールほどの大きさになる雹もあると書かれています。
Q. 夏には雹は降らないのですか? A. 気象庁は、盛夏には降りにくく、春や秋に多く観測されると説明しています。降らないとは書かれていません。
参考資料・出典
- 気象庁「降水」(気象用語集・予報用語):ひょう(直径5mm以上)とあられ(5mm未満)の定義。
- 気象庁 はれるんランド「どうして「ひょう」が降るの?」:氷の粒が成長するしくみ、直径2cmぐらいで落ちること、春や秋に多く夏はあまり降らないという説明。全文を確認。
- 気象庁「農業に役立つ気象情報の利用の手引き - 農業被害の軽減に向けて -」:ひょうの成長と層構造、盛夏期には降りにくいこと、被害と対策、積乱雲が近づくときの避難(PDF35〜37頁を確認)。
- 気象庁「急な大雨や雷・竜巻から身を守るために ~積乱雲が近づいてきたら・・・~」:積乱雲が近づくサイン(同シリーズの次のページで、避難とナウキャストの確認)。
- WMO International Cloud Atlas「Hail」:雹の定義、層構造、一般的な大きさ(5〜50mm)。
