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【EVバッテリー】使い終わった電池はどこへ?診断・再利用・再資源化

EVから外された電池は、状態を評価して別用途への再利用や材料回収を検討します。国際規格の公開概要、国内の採択事業、企業の診断・履歴管理の構想を読み分けます。

【EVバッテリー】使い終わった電池はどこへ?診断・再利用・再資源化

この記事でわかること

  • 車載用途を終えた電池でも、状態によっては別用途へ回せる
  • 再利用では、使用済み電池の性能と安全性を評価する
  • 二次利用に向かない電池は材料回収の対象になり、リユースとリサイクルの両方が必要とされる(デンソーの説明)

EVの車載バッテリーは、車で使えなくなったらすぐ廃棄されるのでしょうか。実際には、電池の状態を診断し、残った性能を別用途で使うリユースと、材料を取り出すリサイクルに分かれる可能性があります。

ただし、車から外れた電池をそのまま別の機器へ移せるわけではありません。公開されている国際規格の概要は、転用する電池の性能と安全性を評価する手順を扱います。具体的な検査項目や判定値は、規格本文や採用する方式を確認する必要があります。使えるかどうかは、電池の年齢だけでは決まりません。

「使い終わり」は車の寿命と同じではない

EVの電池は、車を動かすために必要な出力や航続距離を満たしにくくなると、車載用途を終えることがあります。しかし、車載としては十分な性能を発揮できなくなった電池でも、別の用途で使える場合があるとされています。デンソー(DRIVEN BASE、2024年7月17日)は、診断結果に応じて、電動アシスト自転車やコンビニ横の蓄電池などへの二次利用を目指すと説明しています。別用途の条件に合う性能が残っていれば、二次利用を検討できます。

診断では何を見るのか

SoHは、電池の状態を評価する指標として使われます。新品と比べてどの程度の性能が残っているかを見る目安ですが、SoHだけで安全性や再利用可否が決まるわけではありません。

IEC 63330-1:2024の公開概要では、使用済みのセル・モジュール・電池システムを別用途へ転用するため、性能と安全性を評価する手順を扱うと説明されています。ここで参照したのは公開概要であり、有料の規格本文の検査項目をすべて確認した説明ではありません。

企業の具体例として、デンソーの2024年7月の説明は、SOH診断の技術を起点に、車載電池のライフサイクルを構築する構想を紹介しています。これは同社の技術・構想であり、すべての中古電池に共通する診断手順や合格値ではありません。

別用途へ再利用する工程

車載用途と次の用途で求められる性能は同じとは限りません。IECの公開概要は、使用済み電池の転用時に性能と安全性を評価し、転用後の利用にも基本的な要件を設けると説明しています。組み替えや検査の詳細を、すべての電池に共通する手順としてここで定めるものではありません。

環境省の2024年10月28日発表は、デンソーの安全性・性能ランク分類の実証事業を採択したものです。一次利用後の性能評価の仕組みを確立し、二次利用市場を活性化することを目指す計画で、普及や効果の達成を報告した資料ではありません。再利用では、電池の状態を評価し、次の用途の条件に合うかを確認します。

材料として再資源化する流れ

二次利用に向かない電池は、材料回収の対象になります。デンソー(DRIVEN BASE、2024年7月17日)は、寿命を迎えた車載電池を分解してレアメタルを回収・再資源化する「リサイクル」と、別の用途で再利用する「リユース」の両方が必要だと説明しています。車載電池にはリチウム、コバルト、ニッケル、グラファイトなどが使われているとされます。

電池の種類によって、そもそも含まれる材料が違います。米国エネルギー省(DOE)の重要鉱物・材料プログラムの資料(2025年1月)は、リン酸鉄リチウム(LFP)のEV電池の正極にコバルトとニッケルは使われないと述べています。コバルトを含まない電池を、コバルト回収の例として扱うことはできません。回収率を読む場合も、どの材料・電池・処理方法を分母とする値かを確認します。

バッテリーパスポートの役割

診断には、電池を取り外した時点の計測だけでなく、使用していた間のデータも役立ちます。デンソーの前掲資料は、SOH診断の事業を、電池に関するデータ管理基盤であるバッテリーパスポート技術とも連携させる構想を説明しています。

これは企業が紹介する取り組みの例です。「日本中のEV電池で同じデータが既に共有されている」という結果ではありません。データをつなぐ仕組みと、個々の電池の性能・安全性の評価を分けて考える必要があります。

まとめ

EVの車載電池は、車での用途を終えた後、状態診断を経て別用途へ再利用される場合があります。二次利用に向かない電池は、材料を回収するリサイクルの対象になります。容量の目安だけで安全性まで保証せず、性能と安全性を分けて評価することが重要です。バッテリーパスポートは、そうしたデータを共有するために企業が開発を進めている仕組みです。

よくある質問

車で使えなくなったEV電池はすべて廃棄されますか?

すべてではありません。状態や用途によって、定置用蓄電池などへの再利用や材料回収が検討されます。

SoHが高ければ安全に再利用できますか?

SoHだけでは決まりません。性能と安全性の評価が必要です。具体的な検査項目や合格値を、公開概要だけから決めることはできません。

バッテリーパスポートとは何ですか?

電池に関するデータの管理・連携を支える仕組みです。この記事で紹介したのは、デンソーが説明する診断技術との連携の構想です。安全性を保証する証明書と同じ意味ではありません。

参考資料