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【自動運転トラック】なぜ高速道路を走る?無人輸送を支える仕組み

自動運転トラックは、幹線物流の主体である高速道路の夜間走行から実証が進んでいます。車両、道路側の情報、遠隔支援、物流拠点を組み合わせる仕組みを説明します。

【自動運転トラック】なぜ高速道路を走る?無人輸送を支える仕組み

この記事でわかること

  • 幹線物流は高速道路の夜間走行が主体で、ドライバーの負担が大きい
  • 新東名の実証では、落下物や工事、合流の情報を道路側から提供する路車協調を組み合わせる
  • 実証は全国の完全無人輸送の開始を意味せず、遠隔支援や拠点との接続も含む

自動運転トラックの実証が高速道路から検討されるのは、幹線物流では輸送効率のよい高速道路の夜間走行が主体で、ドライバーの負担が大きいためです。国土交通省の資料は、先進安全技術が長距離・高速走行を対象としていることも挙げています。それでも、合流、工事規制、落下物、故障車などへの対応が必要で、車両だけで自動運転が完結するわけではありません。

新東名高速道路では、自動運転車優先レーンや道路側からの情報提供を組み合わせた実証が進められました。ここで紹介する実証では、車両のセンサーに加え、道路側の情報や切替拠点を組み合わせます。すべての自動運転方式が同じ道路設備を必須とするわけではありません。

高速道路が先に検討される理由

国土交通省の資料は、物流事業者のニーズとして、幹線物流では輸送効率のよい高速道路の夜間走行が主体であり、夜間走行はドライバーの負担が大きく人手不足が顕著であることを挙げています。技術面では、ACC(追従機能)や車線維持などの先進安全技術は長距離・高速走行を対象としており、交通量が多く周辺車両の影響を受けやすい交通環境では車両制御が困難とされています。

一般道には歩行者、自転車、交差点などがあり、高速道路は歩行者や自転車が入らない構造が多いことは、道路の一般的な特徴です。ただし、確認した資料がこれを実証先の理由として明記しているわけではありません。高速道路だから事故や故障が起きないわけでもありません。

道路側から情報を受け取る

車両のカメラやレーダーだけでは、カーブの先の工事や落下物、合流先の規制を早く把握できない場合があります。そこで、道路側のセンサーや管理システムから、工事規制、落下物、車線変更などの情報を車両へ提供する路車協調が検討されています。

国土交通省の実証計画資料では、2024年度後半の開始を予定し、駿河湾沼津サービスエリア~浜松サービスエリアの深夜時間帯に優先レーンを設定する計画が示されています。資料には一部内容は2025年度以降に実施するとの注記もあり、計画図をそのまま実施済みの成果として読むことはできません。確認した資料は優先レーンを「優先」として示しており、一般車が一切入らない専用の道路であると述べる記述はありません。道路の設備と車両の制御を組み合わせることで、見えない先の状況を補います。

その後の2025年2月7日の開始発表は、同年3月3日から平日の22時~翌5時に第1通行帯を優先レーンとし、自動発着・先読み情報・合流支援情報の受信などを検証することを示しています。開始を知らせる資料と、検証で得られた成果の資料は分けて読みます。

遠隔支援と有人の引き継ぎ

資料では、遠隔監視、運転手・保安要員の派遣、ドライバーが乗り降りする切替拠点を挙げています。遠隔で状況を確認して支援することと、遠隔の人が常時操縦することは区別して読みます。

自動運転が正常に走っているときは車両が操作を担っても、想定外の状況では人による対応が必要になる場合があります。国土交通省の資料が遠隔監視や運転手・保安要員の派遣を挙げているのは、そうした場面に備えるためと考えられます。

また、幹線輸送の全区間を同じ自動化レベルで走るとは限りません。資料は、自動運転の切替(ドライバーの乗降など)に必要な駐車マスを整備する「切替拠点」を挙げています。高速道路の区間だけを自動運転とし、前後は人が運転する運用も想定されます。

トラックだけでなく道路側の設備と拠点が必要

自動運転トラックが高速道路を走れても、走行を支える道路側の設備や拠点が整っていなければ、運行は続けられません。国土交通省の資料は、合流支援や先読み情報の提供、遠隔監視、運転手・保安要員の派遣、切替拠点の整備を、自動運転に必要なインフラ機能として挙げています。

荷物の積み込みや荷下ろしなど、拠点での作業をどう分担するかは、この実証資料では扱われていません。幹線輸送を考えるときは、車両だけでなく、道路側の情報、優先レーン、遠隔支援、切替拠点、有人運転への接続を合わせて見る必要があります。「自動運転ができる車両を作れば実用化できる」という単純な話ではありません。

実証と全国導入は別の段階

国土交通省の実証事業は、自動運転トラックによる幹線輸送の物流効率を高める効果を検証し、社会実装を進めることを目的としています。ここで参照した開始発表は検証内容を示す資料であり、走行に成功した結果報告ではありません。全国の高速道路で完全無人輸送が始まったことも意味しません。

道路構造、交通量、トンネル、気象、拠点の位置、通信環境が違えば、必要な設備や運用も変わります。導入時期や事故時の責任を一般論で断定せず、実証が何を検証したのかを分けて読む必要があります。

まとめ

自動運転トラックは、幹線物流の主体である高速道路の夜間走行から実証が進んでいます。新東名の実証では、車両に道路側の情報や優先レーン、切替拠点などを組み合わせます。実証の開始発表、走行結果、全国での無人輸送の導入は別の段階です。

よくある質問

なぜ一般道ではなく高速道路から始めるのですか?

幹線物流では高速道路の夜間走行が主体で、ドライバーの負担が大きいためです(国土交通省の資料)。ただし、工事や落下物などの課題は残ります。

自動運転トラックは完全に無人ですか?

必ずしもそうではありません。遠隔支援や区間ごとの有人運転への引き継ぎを含む運用が検討されます。

新東名の実証で全国導入が決まったのですか?

決まったわけではありません。実証は、効率向上の効果などを検証し、社会実装を進める段階です。

参考資料