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【サンマ】なぜ漁獲量が減った?海水温の変化と「漁場の沖合化」

サンマが獲れにくくなった背景には、魚が消えたという単純な理由だけでなく、親潮の南下の弱まりや海水温の変化による漁場の沖合化があります。水産庁の資料は、餌となる動物性プランクトンや競合種が資源量に影響した可能性も指摘しています。漁獲量と資源量を分けて解説します。

【サンマ】なぜ漁獲量が減った?海水温の変化と「漁場の沖合化」

この記事でわかること

  • サンマの分布が沖合へ変わると沿岸の漁船では獲りにくくなる
  • 親潮・海水温が分布と回遊に関係し、餌や競合種は資源量の減少の可能性として指摘されている
  • 漁獲量、来遊量、資源量、漁獲上限は同じ数字ではない

サンマの漁獲量が減ると、「海からサンマが消えた」と感じるかもしれません。しかし、漁獲量は海にいる魚の数だけで決まるわけではありません。魚群がどこを通るか、漁船がその場所まで行けるかも関係します。

水産庁は、親潮の南下が弱まり、釧路沖や三陸沖の海水温が上がったことで、サンマの分布や回遊が変化し、漁場が沖合へ移動したと説明しています。さらに水産庁は、餌となる動物性プランクトンの減少やマイワシなどの競合種の増加が、サンマの資源量を減らした可能性があると指摘しています。サンマの不漁は一つの原因だけで説明できない現象です。

「魚がいない」と「近くで獲れない」は違う

沿岸の漁港から見て、以前よく獲れた場所にサンマが来なくなったのは、漁場が沖合へ移ったことが一因です。ただし水産庁は、資源量が減少した可能性も指摘しており、両方を分けて考える必要があります。魚群がより沖合へ移動すれば、沿岸の小型漁船では航行距離や燃料、天候の条件から追いにくくなります。

この状態を漁場の沖合化と呼びます。魚の分布が変わることと、漁船が操業できる範囲が変わることが重なり、港での漁獲量が減って見えます。漁獲量は「魚がいる場所」と「獲るための設備・距離」の両方を反映する数字です。

親潮と海水温が回遊を変える

サンマは広い海域を回遊する魚です。水産庁は、親潮の南下の弱まりと釧路沖・三陸沖の海水温の上昇によって、サンマの分布や回遊が変化したと説明しています。

親潮の南下が弱まったり、釧路沖や三陸沖の海水温が高くなったりすると、サンマの分布や回遊が変わり、漁場が沖合へ移動すると説明されています(水産庁)。

餌の変化も成長と生残に影響する

サンマは動物性プランクトンなどを餌にします。水産庁の資料では、沖合域で餌となる動物性プランクトンの密度が低いことから、成長の悪化や死亡率の増加が生じ、資源量が減少した可能性が指摘されています。

魚が移動した先に餌が十分にあるとは限りません。水温が適していても餌が少なければ、成長や生残に影響が出ることがあります。反対に、餌が多い場所でも、漁船から遠い、波が高い、操業期間が限られるなどの条件があれば、漁獲量には直結しません。

マイワシなどの競合種も関係する

海の生物は同じ餌や同じ水域を利用することがあります。マイワシなどの競合種の増加が、サンマの資源量の減少の要因となった可能性が水産庁資料で指摘されています。ただし、「マイワシが増えたからサンマが減った」と単純に因果関係を確定できるわけではありません。

海水温、海流、プランクトン、競合種などの条件が重なり、年によって状況が変わります。魚種同士の関係は、海域や時期ごとの調査結果と合わせて読む必要があります。

2025年・2026年の予報と数字の読み方

水産研究・教育機構は2025年7月、同年8月から12月の道東から常磐海域のサンマ来遊量(漁況)を「昨年並みの低水準」と発表し、水産庁が公表しました。ただし、漁期の前半は昨年を下回り、後半は上回る見通しとされ、年間を通じて一様に減るわけではないことも示されています。これは当時の予報であり、実際の漁獲量ではありません。

2026年7月28日には、水産研究・教育機構が2026年度(同年8月から12月)の予報を発表し、水産庁が公表しました。それによると、来遊量は昨年の水準を下回る見通しです。これも予報であり、実際の漁獲量や現在の資源量を示すものではありません。

また、2026年4月に開かれた北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合で、2026年の公海でのサンマ漁獲上限を前年から5%削減し、115,425トンとすることに合意したと、水産庁が公表しました。これは資源管理のための上限であり、漁場で実際に獲れた漁獲量や、海にいる資源量とは別の数字です。

漁獲上限が減ったから、サンマの漁獲量も減った。

この順番で原因を決めることはできません。漁獲上限は資源を保つための管理目標であり、漁獲量の変化には回遊、海況、操業条件、漁船数なども関係します。

まとめ

サンマの漁獲量が減った背景には、親潮の南下の弱まりや海水温の変化による漁場の沖合化があり、餌となるプランクトンや競合種が資源量に影響した可能性も指摘されています。魚群が沖合へ移動する漁場の沖合化が進めば、魚がいても沿岸の漁船では獲りにくくなります。

「サンマがいない」と考える前に、漁獲量、来遊量、資源量、漁獲上限のどの数字なのかを分けて見ることが大切です。海水温だけを単一原因にせず、海流・餌・魚種間の関係を合わせて読むと、不漁の背景を理解しやすくなります。

よくある質問

Q. 漁場の沖合化はサンマの絶滅を意味しますか?
A. 漁場の沖合化は、魚群の分布が従来より沖合へ移動し、沿岸から獲りにくくなる現象を指します(水産庁)。資源量の評価とは別に確認する必要があります。

Q. 海水温が上がれば必ずサンマは減りますか?
A. 海水温は重要な要因ですが、海流、餌、競合種なども関係すると指摘されています。海水温だけで漁獲量を断定することはできません。

Q. 来遊量と漁獲量は同じですか?
A. 同じではありません。来遊量は日本近海の漁場へ来る魚の量についての見通し(予報)で、漁獲量は実際に漁船が獲った量です。操業条件や漁場までの距離も結果に影響します。

参考資料・出典