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電子レンジの爆発・発火はなぜ起きる?卵・突沸・過加熱の注意点

電子レンジでは、殻や膜のある食品の破裂、飲み物の突沸、長時間加熱による炭化・発火などの事故が起きています。NITE・国民生活センター・東京消防庁などの資料に沿って、起きる理由と注意点、万一発火したときの対応を整理します。

電子レンジの爆発・発火はなぜ起きる?卵・突沸・過加熱の注意点

この記事でわかること

  • 殻つき卵はゆで卵も含めて加熱してはいけない食品とされ、破裂するおそれがある
  • 水や牛乳、とろみのある食品は、加熱後の刺激などで突然沸騰(突沸)することがある
  • 水分の少ない食品(さつまいも・パンなど)や油分の多い食品は、加熱し過ぎると炭化して発火するおそれがある

電子レンジは万能ではない

電子レンジは食品に含まれる水分子をマイクロ波で振動させて加熱する調理器具です。素早く温められる反面、食品や加熱の仕方によっては「破裂・突沸・発火」といった事故につながるケースがあります。

加熱できる食品・容器と、出力・時間は機種や食品によって異なります。仕組みの説明だけで安全と判断せず、電子レンジと食品の表示、取扱説明書を確認してください。


事故のパターンと理由

パターン1:圧力が逃げずに破裂するもの

殻つき卵が最もよく知られた例です。国民生活センターは、卵は殻や薄い皮膜で覆われており、電子レンジにかけると内部の圧力が高まり、耐えきれなくなったところで突然爆発する、と説明しています。同センターのテストでは、生卵1個を500Wで2分に設定して加熱したところ、約1分で白身が一部飛び出し、その約15秒後に破裂して庫内に飛び散りました。

加熱してはいけない食品や、注意が必要な食品の例は、NITEが紹介する日本電機工業会の食品表で次のように整理されています。

食品資料の説明
殻付き卵加熱してはいけない。一部に強い圧力がかかって破裂する。殻を割った生卵の黄身のままでも破裂する場合がある
ゆで卵(殻付き、殻なし)加熱してはいけない。固まった白身が殻の役割を果たし、破裂する
栗、ぎんなんなど殻のある食品殻付きのままでは加熱してはいけない。殻をむくか、切れ目を入れてから加熱する
ソーセージ、明太子、イカなど膜のある食品加熱時には注意する。一部に強い圧力がかかって破裂する。切れ目を入れてから加熱する

ゆで卵は電子レンジで温めないでください。 殻をむいたものや、おでんに入った卵も対象です。国民生活センターは、おでんの卵の温め直しでも卵が破裂することを記しています。

三菱電機は、ゆで卵がカットしてあっても破裂する可能性があると説明しています。同社は、ゆで卵には膜があり、卵黄の急激な温度上昇と膨張を逃がせないために破裂しやすく、半分に切っていても白身の中に空気が含まれていると破裂の原因になる、と述べています。日本電機工業会の食品表の説明(白身が殻の役割を果たす)とは説明の仕方が異なりますが、どちらも、ゆで卵は電子レンジで温めないという点では一致しています。切れ目を入れたから、「専用容器」と名づけられているからといって加熱可能と判断せず、機器・調理器具の説明書で禁止事項を確認してください。


パターン2:飲み物などの突沸

水やコーヒーなどの飲み物を電子レンジで加熱すると、突然噴き出す「突沸」が起きることがあります。

国民生活センターの再現テストでは、コップに入れたコーヒー(約150mL)を1000Wで2分加熱したところ突沸が起きました。沸騰が落ち着いたように見えても、外部からの刺激がきっかけとなって再び大きく泡立つことがあり、スプーンを入れた刺激で全体が泡立つ様子も確認されています。突沸は、牛乳・豆乳・コーヒー・お茶・水・お酒などの飲み物のほか、味噌汁などでも起こるとされています。

NITEが紹介する日本電機工業会の食品表では、水や牛乳などの液体、カレー・シチュー・味噌汁などのとろみのある食品は、突然沸騰する場合があるため、加熱時に注意が必要な食品とされています。国民生活センターは、飲み物を加熱しすぎると、突然爆発的に噴き出すことがあると記しています。

注意の基本:

  • よくかき混ぜてから加熱を始め、少しずつ様子を見ながら加熱する(NITE)
  • 加熱後に砂糖などを入れる際にも沸騰することがあるので、加熱後はよくかき混ぜてから投入する(NITE)
  • 突沸が起きたと感じたときは、そのまま静かに1〜2分程度放置すると突沸が起こりにくくなる(国民生活センター)
  • 容器・付属品は、その電子レンジで使用できるものを選ぶ

加熱後に待つ時間を含め、機器の説明書に従ってください。


パターン3:水分の少ない食品・油分の多い食品の発火

食品を長時間加熱すると、水分が蒸発して炭化が進み、発火することがあります。東京消防庁は、食品を長時間加熱すると水分が蒸発し、炭化が進行して可燃性ガスが発生し、この可燃性ガスが庫内に充満したときに、食品の炭化した部分が帯電してスパークを起こして引火し、爆発的に燃焼すると推定しています。

東京消防庁が出力700Wで行った再現実験では、次の食品が長時間の加熱で爆発的に燃焼しました。

食品質量出火までの時間
さつま芋(焼き芋)120g6分26秒
さつま芋(生)170g11分30秒
中華まん(肉まん)90g5分34秒
中華まん(あんまん)110g7分37秒

国民生活センターも、さつま芋(約100g)をラップなしで500Wで加熱するテストを行い、加熱開始から約11分で、さつま芋周辺で発生した火花をきっかけに発火し、庫内の圧力上昇で扉が開いたと報告しています。

NITEは、水分が少ない食品(パンや芋など)は水分を多く含む食品より比較的早く炭化し、スパークして発火すること、特に油分を多く含む食品(天ぷら、肉まんなど)は加熱し過ぎると爆発的に燃焼するおそれがあることを注意しています。

加熱時の確認:

  • パッケージや食品に記載された加熱時間・調理方法を守る
  • 時間が分からない場合は、様子を見ながら少しずつ加熱する
  • 加熱中はその場を離れない
  • 庫内の汚れを放置しない(NITE:食品かすが炭化してスパークし、発火するおそれがある)

金属・アルミは入れてはいけない

食品以外のリスクとして、アルミホイルや金属容器があります。NITEが紹介する日本電機工業会の表では、金属容器、金串、金網、アルミホイルなどは「原則として使えません」とされ、スパークが生じるためです。ただし、アルミホイルは電波を反射する性質を利用して部分的に使える場合があり、各製品の取扱説明書の記載を確認するよう求めています。東京消防庁は、包装にアルミが使用されているものを加熱して火花が発生し、火災に至った例を挙げています。

陶器・磁器は使える容器とされていますが、ひび・傷、金銀の模様、内側に色絵のある器は、傷めたり火花が出たりするため使えません。

なお、ブドウを半分に切って電子レンジに入れると火花(プラズマ)が出る現象が知られています。2019年のPNAS誌の研究は、この現象が、ブドウのような水を多く含む球状のものの中で電磁波が強まる場所(ホットスポット)ができるために起こると説明しています(要旨で確認)。食品の破裂や発火とは別の現象で、家庭で試すものではありません。


万一、庫内で発煙・発火したら

国民生活センターは、万一庫内で発煙・発火したときは、動作を停止させて電源プラグを抜き、扉を開けずに煙や火が収まるのを待つよう案内しています。

東京消防庁の「電子レンジ火災時の対応」は、次の流れを示しています。

  1. 扉を開けずに電源を遮断する
  2. 扉を閉めたまま、庫内の様子を見る(扉を開けると燃え広がる危険が大きい)
  3. 火が消えなければ、消火器などを準備する

また、火災が発生したときは119番通報を忘れずに、とも記しています。東京消防庁は、電子レンジの扉を開けて消火しようとした際に火が着衣に燃え移り、亡くなった事例も紹介しています。燃えているものを取り出そうとはしないでください。


よくある誤解

誤解資料の説明
殻をむいたゆで卵は大丈夫殻がなくても、日本電機工業会の食品表では固まった白身が殻の役割を果たして破裂するとされている
「温め」モードなら何でも安全食品の種類や量、容器によって危険がある。パッケージの調理方法や取扱説明書を確認する

まとめ

  • ゆで卵は、殻をむいたり半分に切ったりしても破裂するおそれがあるため、電子レンジで温めない
  • 水・牛乳などの液体や、カレー・シチューなどのとろみのある食品は突沸に注意する。よくかき混ぜてから少しずつ加熱し、加熱後に砂糖などを入れる際も注意する
  • さつまいも・パンなど水分が少ない食品や、油分の多い食品は、長時間加熱すると炭化して発火するおそれがある
  • アルミホイル・金属容器は原則として電子レンジに入れない
  • 機器と食品の表示を確認し、加熱中はその場を離れない。発火したら扉を開けずに電源を遮断し、火災が発生したときは119番通報を忘れない

よくある質問

Q. 金属の縁付きの皿は? A. NITEが紹介する日本電機工業会の表では、陶器・磁器でも、金銀の模様や内側に色絵のある器は、傷めたり火花が出たりするので使えないとされています。

Q. 発火したらどうしますか? A. 扉を開けずに運転を止め、電源プラグを抜いて、煙や火が収まるのを待ちます(国民生活センター)。火が消えなければ消火器などを準備し、火災が発生したときは119番通報します(東京消防庁)。燃えているものを取り出そうとしないでください。取扱説明書にも従います。

参考資料・出典