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デジャブはなぜ起こる?見覚えと記憶の違い

「前にも見た」と感じるのに、何を思い出したのか分からないデジャブ。空間の配置を使った実験と記憶の研究から、見覚え、具体的な記憶、原因として断定できる範囲を整理します。

デジャブはなぜ起こる?見覚えと記憶の違い

この記事でわかること

  • デジャブの見覚えと、いつどこで経験したかを具体的に思い出すことは区別できる
  • 空間配置の類似がデジャブの報告と結び付いた実験がある
  • 実験室の結果で、日常の全てのデジャブを説明できたわけではない

見覚えがあるのに、何の記憶か分からない

訪れた場所に「前にも来た」と感じる。でも、その記憶がどこから来たのか分からず、いまの場面でその感覚を持つことに違和感がある。このような経験がデジャブ、既視感です。

大切なのは、見覚えを感じることと、具体的な過去を思い出すことを分ける点です。「本当に初めての場所だった」と、本人の感覚だけで過去の経験の有無を確定できるわけでもありません。

空間の配置を似せた実験

Colorado State Universityの2012年の研究紹介は、仮想空間を使って、場面の配置とデジャブの関係を調べた実験を説明しています。

実験では、物や景色は違っていても、それらの配置が以前に見た場面と同じになる空間を作りました。例えば、中庭の植木と、博物館の像やベンチの位置関係を対応させます。

以前の場面を具体的に思い出せない場合でも、同じ配置を持つ新しい場面では、似ていない場面よりデジャブが報告されやすかったと紹介されています。「何かが似ている」という感覚が、具体的な記憶を取り出せないときにも残ることを考える材料です。

同じ紹介は、以前に見た場面そのものを、新しい場面だと取り違えた場合も扱っています。したがって、デジャブを「完全に初めての経験でしか起こらない」と定義し過ぎると、研究の条件を見落とします。

見覚え・思い出すこと・デジャブ

次の表は、上の研究を理解するための説明上の整理です。病気や記憶能力を判定する分類表ではありません。

感覚や反応説明例
見覚えがある以前に接した感じはあるが、場面の詳細までは出てこない
具体的に思い出す誰と、どこで、何をしたかなどの出来事が思い浮かぶ
デジャブ強い見覚えがある一方、いまの場面でその感覚を持つことに違和感がある

「見覚え」があること自体を、記憶の故障と呼ぶ必要はありません。デジャブの研究では、見覚えと具体的な記憶がどのように関係するかが問われています。

記憶が弱い人ほど起こるのか

O’ConnorとMoulinの2013年の研究では、大学生206人を対象に、単語を使う記憶課題と、日常のデジャブの報告を調べました。研究は、測定した記憶課題の成績と日常のデジャブの頻度に、想定した関連を認めませんでした。

これは「デジャブが多い人は記憶が弱い」と決めつけないための材料です。一方、大学生の単語課題で得られた結果から、あらゆる年齢・記憶課題・病気との関係がないと結論づけることもできません。

原因を一つに決められない理由

Brownの2003年のレビューは、記憶、注意、神経学的な説明など、複数の考え方を整理しています。空間配置の実験は、こうした問いの一部を調べる具体的な方法です。

実験で似た配置が関係したからといって、日常の一回のデジャブも必ず同じ原因とは限りません。「脳内の信号が何ミリ秒遅れた」「右脳と左脳がずれた」と、個別の経験から仕組みを言い切ることはできません。

疲労などと関連して報告されたという話も、原因が実証されたことや、生活習慣を変えれば必ず減ることとは区別します。ここで紹介した資料から、デジャブを減らす治療手順を作ることはできません。

健康の話と混同しないために

デジャブという言葉だけで、病気かどうかを自己判定することはできません。英国NHSのてんかんの案内は、周囲への反応が途切れることや、異常な感覚などを発作の症状として挙げ、初めて発作が疑われた場合の医療相談を案内しています。

見覚えの感覚だけを数えるのでなく、意識や反応が途切れるなどの症状が伴う場合は、医療機関へ相談してください。「一日に何回なら病気」と、この一般記事で線引きすることはできません。

よくある質問

Q. 見覚えがあるなら、実際に同じことを経験していますか?

その感覚だけでは確定できません。似た配置の新しい場面で生じる場合と、以前の場面を思い出せない場合を、実験も区別しています。

Q. デジャブは記憶力が悪い証拠ですか?

大学生の単語課題の研究は、そう単純に結び付ける結果ではありません。ただし、健康状態全体を判定する研究でもありません。

参考資料・出典